「地球最後のオイルショック」( David Strahn著 高遠裕子訳 新潮選書)
久々にちゃんとした本が読みたくなって(苦笑)買いました。
出版されたばかりの本を買うのは、私としては結構珍しい出来事なのかも。

原題に対して、邦題にはなぜか「地球」ということばが頭に来ているのですが、地球の上で石油という資源を必要としているのは人間さまだけでございます。( もちろん、その中には私たちが含まれているのですが )
この本には、ごく近い将来に私たちにほぼ確実に訪れるであろうとんでもない事態に関することが書かれてあります。昨今の私たちの生活に大きな影響を与えている原油価格の高騰の原因の一端も、おそらくこの本に書かれている「ピーク・オイル」(wiki上に記述あり)にあるのでしょう。
子供の頃に読んだ未来に関する本にも似たようなことが書かれてたのがありましたが、現在のところ、未だに石油は枯渇せず、私たちは石油がなくてはやっていけないライフスタイルを相変わらず続けております。
OPECの国々は、原油が高騰して儲かっているから増産に応じないのだとばかり私は思っていたのですが、この本の記述によると、彼らは"増産しない"のではなく"増産できない"状況にあると思ったほうが良いようです。
そして、私たちにとって一番の問題は、私たちがいま生活をしているこの社会そのものが、この本で指摘されている事態には対応できないということだと思います。
なのに、それは目と鼻の先の将来の出来事、しかも絶対に避けようのない事態として、私たちに近づきつつあります。
[2008/6/5追記]
ごく個人的な書評。
私たちは石油をバンバン使うことによって今の豊かさを享受できているというのに、その石油について知らないこと、分かってないことがいかに多いか、ということを思い知らされる一冊でした。地球という入れ物のサイズは決まっている以上、地面の下にある石油は有限な資源であり、いつかは物理的に枯渇してしまうものなのですが、その時は私や皆さんが想定していたよりも相当早いようです。
何事も数値が右肩上がりになることを前提として成り立っている私たちの社会は、その時どうなってしまうのでしょうか? 誰もいい答えを持っていない(=持てない)話だけに、言いようのない空恐ろしさだけが残りました。
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